【Auger(オーガー)×賭博罪|デリバティブの解釈論・場所的適用範囲】
デリバティブ取引と賭博罪との抵触の問題は古くて新しいものです。
判例は多いのですが,統一的・画一的な判断はまだないと言えます。
大雑把に言えば『取引を規制する法律』があるものは適法になる,という傾向です。
日本の法規制で,Augurを直接対象とするものはまだありません。
そのため,賭博罪に該当すると判断される可能性は十分にあると言えます。
ただし,この問題は単純ではありません。
関係する立場によって違いがあります。 デリバティブ取引とは
また『日本の刑法の適用範囲』の問題もあります。
順に説明します。
3 Augur×賭博罪|関与者全体
Augurに関与する者はいくつかの立場に分けられます。
それぞれについて,賭博罪との抵触の可能性が異なります。
関与する者の立場ごとに賭博罪との抵触可能性を整理します。
<Augur×賭博罪|関与者全体>
あ 参加者
い ブックメイカー
う レポーター
え Augur開発者
4 幇助犯|winny事件判例|概要
Augurのレポーター・開発者は賭博罪の『幇助犯』が成立する可能性があります(前記)。
この状態に近いものとして『winny事件』の判例があります。
賭博罪ではなく著作権法違反に関する判断です。
罪名は違いますが,共通する構造があります。
winny事件判例の概要をまとめます。
<幇助犯|winny事件判例|概要>
あ 事案概要
winnyという無料のソフトウェアが広く普及した
winnyにより楽曲のファイルをユーザー同士が共有することができた
著作権違反となる状態が大規模に生じた
winnyのプログラム製作者・配布者の刑事責任が問われた
い 最高裁の設定した基準|概要
次の客観面+主観面により幇助犯が成立する
ア 客観面 『一般的可能性を超える具体的な』侵害利用状況がある
イ 主観面 『ア』のことを提供者が認識,認容している
※最高裁平成23年12月19日;winny事件判例
5 Augur×賭博罪|『胴元なし』の影響
Augurの特徴は『胴元が存在しない』ということです。
このことが賭博罪の判断にどのように影響するのでしょうか。
ここにまとめます。
<Augur×賭博罪|『胴元なし』の影響>
あ 開発者≠胴元
ア Augur本体 『Augur』は人間・法人ではない
→犯罪の主体にならない
あくまでプロトコルであり胴元ではない
イ Augur開発者 開発者は個々の『ブックメイク』を行っていない
『賭博場開帳』にも該当しないと思われる
『幇助犯』の可能性は別である(前記)
い 『胴元なし』×賭博罪
胴元は居なくても賭博は成立する
『賭博罪』(参加者)と『賭博場開帳罪』(胴元)はセットになることが多い
しかし『両方が必要』というわけではない
※最高裁昭和24年1月11日
詳しくはこちら|国内犯解釈論×賭博罪|オンライン・カジノ|海外サーバー
そもそも『胴元なし』で賭博罪が成立するケースは特に変わっていることではありません。
友人2人で明日の天気でも,プロサッカーの試合結果を賭けるというものが典型例です。
賭博罪は成立することは当然なのです。
6 オンライン×賭博罪|場所的適用範囲
Augurはインターネット上の通信を利用したプロトコルです。
つまり,投票はオンラインで行われます。
世界中から投票できるのです。
そうすると,賭博罪を含む刑法の適用範囲(エリア)が問題となります。
この問題についてまとめます。
<オンライン×賭博罪|場所的適用範囲>
あ オンライン×賭博罪|問題の所在
い 解釈論|オンラインカジノ|見解
犯罪行為の一部が日本国内で行われた,と考えられる
→偏在説によれば犯罪は成立する
賭博罪について偏在説を採用する判例はない
政府見解は曖昧である
政府見解の解釈自体に幅がある
詳しくはこちら|国内犯解釈論×賭博罪|オンライン・カジノ|海外サーバー
う 解釈論|オンラインカジノ|結論
実はオンラインカジノとして法的解釈論の画一的な見解がない状態です。
政府見解はありますが,解釈の幅が残っています。
この点,政府見解自体を『賭博罪成立』と読む見解もあるようです。
しかし,既存の法律の解釈の最終権限者は司法=裁判所です。
政府見解があっても解釈として再現可能性が万全の状態とは思えません。
とにかく現時点ではどちらの判断がされる可能性(リスク)もある,ということです。
7 Augur×賭博罪|場所的適用範囲|具体例
<Augur×賭博罪|場所的適用範囲|具体例>
あ 具体例|日本でのブックメイキング
ブックメイキングが日本国内である場合
→ブックメイキングの役割は大きい
→刑法が適用される方向性が強いであろう
い 具体例|日本での投票
『ブックメイキング』自体は海外において行われた
日本でユーザーが投票に参加した場合
→個々の投票の役割は比較的小さい
→刑法が適用されない方向性であろう
8 参考情報|研究者・専門家
Augurは新しいテクノロジー・プロトコルです。
本記事の作成において研究者・専門家の見解・情報を参考にしました。
ここに記しておきます。
FLDホールディングスの評判・口コミなどを検証して評価!
※スタッフの名前不明、役職のみ
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▼エグゼクティブファンドマネージャー
数店舗の飲食店経営、店舗管理などで社会の仕組みや物事の道理を身をもって体得した後、某投資会社において長年ファンドマネージャーとして活躍。運用ボリュームは数億円単位。実際に運用する傍ら、数多くのお客様からの相談依頼に対し、的確な資産運用のアドバイスでお客様の不安を軽減してきた。その豊富な経験で培われたコンサルティング能力には定評があり、具体的な資産運用などの解決策と、丁寧な対応でリピートする相談者も多い。
▼サブマネージャー デリバティブ取引とは
数年に渡り運用しておりエグゼクティブファンドマネージャーについて修行中ではあるが、メキメキ頭角を現している。もともと、人に教える事を生業にしてきたので、お客様へのものの伝え方は天下一品。物腰の柔らかさで人の心をつかんで離さない話術のマジシャン。
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しかし、金融会社に従事していただけで投資で稼いでいるのかは不明。 投資家としての実力不透明 な人間に投資をレクチャーしてもらって本当に稼げるようになるのか疑問ですね。
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月に4回、1回1時間、電話でのリアルタイムレクチャー。最初の2回は対面。
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月に4回、1回1時間、電話×2回、対面×2回のリアルタイムレクチャー。最初の2回は対面。
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レクチャーを始めるにあたって必要な準備(証券会社の口座開設など)を一緒にしていく。準備が整うまでサポートする為、電話の回数や一回の電話時間に制限は無し。
▼資産運用アドバイス ※料金不明
対面で悩みを解決する為の方法を話し合う。資金運用する上での心構えや心持・考え方も回数を重ねていく過程で話していく。最初だけの提案ではなく、継続フォローしその時々に合ったアドバイスも行う。
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株式・FX・先物取引トレードスクールの受講料金を見る限り、そこまで高額という印象は受けません。ただ、前述した通り講師の実力が不透明なので、 受講する価値があるのか謎 。
更に会社として登記した所在地と、ホームページに表記されている運営場所の 所在地が異なる デリバティブ取引とは ことも判明しました。
↓登記された所在地(千葉県成田市玉造7-15-58)↓
↓運営が行われている所在地(千葉県成田市並木町142-55)↓
↓実際の物件詳細情報↓
運営を行っている所在地を見る限り、投資で稼いだ人間が出資して創業して運営を行っているのではなく、 投資関連業を営むことでこれから稼ごうとしている会社 ということが何となく分かりますね。
以上の検証結果を踏まえると、現時点では 可もなく不可もない会社 と判断せざるを得ません。信頼を寄せる為の材料が不足している点が多い為、利用を検討する場合は慎重な判断をオススメします。
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デリバティブ取引の概要 / Overview of Derivatives Transactions
Derivatives デリバティブス デリバティブ取引とは とは、金融資産から動詞の Derive デバイブ (派生する)した金融商品、すなわち株式や債券などの有価証券を原資産とするものや、金利や為替などの参照指標を用いた金融取引に用いられる用語で金融派生証券あるいは金融派生商品の意味で用いられている。
現在、デリバティブという言葉は、金融市場だけでなく、広く社会で使用されている。金融リスクを増幅させ、経済に悪影響を及ぼすという批判もあるが、デリバティブは現代における金融を支える必須の要件であり、金融イノベーションの最前線として受け入れられてきている。
デリバティブ市場は近年まで順調に成長してきたが、なぜこれほどまでにデリバティブ取引に需要があるのか?という疑問があるのではないだろうか。その理由の一つは、デリバティブはキャッシュフローを受け渡すだけでなく、キャッシュフローを再構築することでTransfer of risk/リスクの移転が容易になることである。このリスク移転は、伝統的な資産のリスクを先物でヘッジするだけでなく、様々な資産やリスク要因、期間にまたがる、より多様できめ細かなものである。
企業や金融機関、投資家は様々なリスクに遭遇し、そのリスクをヘッジしたい、あるいはリスクを取って投資したいという潜在的な強い欲求がある一方、デリバティブでリスクをシフトしても、ゼロサムゲームなので市場全体のリスクは減らないし、現物の裏付けがないまま作られるものも多いので、金融市場への過剰な資金供給というリスクは避けられないという意見もあるが、過剰なリスク集中を回避し、効果的にリスクをヘッジすることは、リスク管理のみならず資本効率の向上にもつながるため、デリバティブ取引を利用することは、今では経営や投資の判断において重要な選択肢の一つとなっている。
デリバティブの歴史は古く、ギリシャ文明にまで遡る文献にもデリバティブに関する記述があり、特に先物取引の始まりは、農産物や金属などの一般商品からとなる。これら一般商品の先物取引をCommodity futures(商品先物)と呼び、それと区別して、外貨や債券、預金金利、株価指数などの金融商品の先物取引をFinancial futures(金融先物)と現在では呼んでいる。ここでは特に区別が必要な場合を除き、外貨や債券、預金金利、株価指数など、金融先物商品全般の取引のことを「金融先物」と呼ぶことにする。
金融先物取引 Financial futures
金融先物取引の始まりは、1972年にChicago Mercantile Exchange: CME/シカゴ・マーカンタイル取引所がその敷地内にInternational Monetary Market: IMM/国際通貨市場を開設し、外国通貨先物の取引を開始したことに始まる。これを契機に、1970年代後半から1980年代前半にかけて、米国では債券や金利、株価指数など、他のさまざまな金融商品の先物取引が展開され、特に1980年代前半は、多種多様な金融先物商品が次々と誕生し、1980年代半ばまでは、イギリスやカナダ、オランダ、オーストラリア、シンガポールなど他の国でも金融先物取引の導入が見られた。1970年代後半から1980年代前半の10年間で、金融先物取引は世界中に広がり金融先物取引は、先物市場全体において大きな力を持つようになった。結果、1985年以降の米国では、金融先物取引の取引額が商品先物の取引額を上回るようになった。
日本では1985年に10年物国債/JGBが最初の金融先物商品として取引され出した。この商品の取引は大方の予想をはるかに超えて急成長し、取引開始後1年も経たないうちに債券そのものの取引額を上回るようになった。さらに、1987年、日本国債の先物取引は販売額で世界一となり、世界の先物市場から注目を浴びることになった。1987年、証券取引所が50銘柄の株式をパッケージ化した先物商品Stock Futures 50/株式先物50を導入し、株式先物取引が始まった。さらに、証券取引法の改正により、1988年に株価指数先物の取引が開始された。1989年にはFinancial Futures Exchange/金融先物取引所の設立に伴い、通貨・金利先物が導入された。2007年9月、金融先物取引法が廃止され、証券取引法を改正したFinancial Instruments and Exchange Act/金融商品取引法(以下FIEA/金商法)が施行され、有価証券関連取引を扱うSecurities exchanges/証券取引所と金融先物取引のみを扱う金融先物取引所とにカテゴリー分けし、あらゆる金融商品を扱うFinancial Instruments Exchange/金融商品取引所を設置することとなった。
商品先物取引 Commodity futures
商品先物取引の歴史は古く、日本では1730年に全国の大名が年貢として持ち込む米の取引市場として大阪が優位に立ち、江戸幕府が大阪堂島取引所で米の取引(現物取引と先物取引)を許可し、世界初の組織的先物取引市場が誕生した。戦後の日本では、綿糸や羊毛、ゴム、生糸、干し繭、砂糖、農産物、貴金属など、さまざまな商品を取引する取引所が誕生したが、産業の発展とともに統廃合された。
2011年には商品取引所法が改正され、国内の商品取引所と取引所外取引、国際商品市場を対象とする法律として、商品先物取引法が施行された。その後、価格決定方式や証拠金制度の改善など、金融先物取引の存続に向けた取り組みがさらに進み2000年以降、日本の取引所と海外の取引所との提携が加速し、商品の多様化が進んでいる。
2013年1月、株式会社東京証券取引所と株式会社大阪証券取引所は、取引所間のグローバルな競争において、より優位に立つことを目的として、両社の経営統合を行い、株式会社日本取引所グループを設立した。その結果、2014年3月24日以降、金融先物とオプション取引は、株式会社大阪取引所(正式には株式会社大阪証券取引所、同日付で社名変更)のみで取り扱っている。
オプションとスワップ取引 Option & Swap futures
オプション取引は、古代ギリシャでオリーブの豊作が予想され、オリーブの搾油機を使用するOption/権利を購入したのが始まりとされる歴史学者がいる。近代では、17世紀初頭にオランダのチューリップの球根を対象にオプション取引が行われた。
イギリスでは1690年代にオプション市場が出現したが、1733年にウォルポール内閣のバーナード法で違法となったが、その後もオプション取引は盛んに行われ、1860年にバーナード法は廃止された。米国では、18世紀後半からオプション取引が行われるようになり、南北戦争後に近代的なオプション取引の時代が始まった。1920年代には、店頭市場で投機手段としてオプション市場が人気を博した。しかし、販売促進の手段として営業マンに提供されたオプションが、相場操縦に利用されていることが問題となった。
1973年4月26日、Chicago Board Options Exchange: CBOE/シカゴ・オプション取引所で16銘柄のコール・オプションの取引が開始された。1977年にはプットオプションの取引も開始された。しかし、販売や取引に不公正な行為が多かったため、SEC/証券取引委員会は、新商品や原資産の増加などを禁止し、業務を一時停止させる措置をとった。
この措置は1980年3月に廃止され、オプション取引は現在のように盛んに行われるようになり、この頃、レーガン政権による金融規制緩和とそれに伴う金融市場の活性化により、オプション取引が拡大し、さらに新しいオプション商品の開発に拍車がかかった。その影響は世界の主要な証券取引所に及び、欧州や日本でも先物取引にオプションが導入された。
21世紀に入り、金融市場のグローバル化、ボーダレス化が加速する中で、デリバティブ市場は驚異的な成長を遂げ、商品開発、取引手法も驚異的な進化を遂げた。その多くは相対取引であり、相対取引に関する法的なインフラ整備も進められてきた。一例として、デリバティブの交渉型取引のグローバル化に大きく貢献したのは、デリバティブのプロが参加するInternational Swaps and Derivatives Association: ISDA/国際スワップデリバティブ協会が公表するマスター契約に準拠したスワップ取引における国際標準化であったと思われる。この標準化の流れは、会計や内部統制、リスク管理の分野でも見られる。つまり、時価会計への移行や自由化とグローバル化の流れの中で多様なデリバティブビジネスが一般化した。
2007年に顕在化したサブプライム問題で明らかになったように、これまでのデリバティブ産業の成長と発展が何の問題もなかったとは言えない。その後の金融市場の混乱と信用収縮に伴い、自由放任主義の下での自由化の流れを見直すべきであるという見解が、世界的なコンセンサスとして確立している。しかし、現時点でのデリバティブ取引の残高が膨大であり、今後、新たな取引が大量に発生することを考えると、店頭デリバティブ規制の改革を含む金融規制改革がいかに困難であるかは容易に想像がつく。
デリバティブ取引と金融商品取引法 Derivatives Transactions and the Financial Instruments and Exchange Act
2007年9月末に金商法が施行され当時の他国との整合性を図る観点から、従来の限定列挙方式から、包括的にとらえた枠組みで扱われるようになった。従来、Commodities/商品またはCommodity indices/商品指数を原資産または参照指標とするCommodity derivatives transactions/商品デリバティブ取引は、農産物や金属の生産と流通に関する政策と密接に関連すると考えられ、商品先物取引法の規制対象とされてきた。しかし、2012年の金商法改正により、商品または商品の財務指標を原資産または参照指標とするMarket derivatives transactions/市場デリバティブ取引は、Financial instruments exchanges/金融商品取引所が運営するFinancial instruments markets/金融商品市場において取扱うことができるようになった。
24条この法律において「金融商品」とは、次に掲げるものをいう。
一 有価証券
二 預金契約に基づく債権その他の権利又は当該権利を表示する証券若しくは証書であつて政令で定めるもの(前号に掲げるものを除く。)
三 通貨
三の二 暗号資産(資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第二条第五項に規定する暗号資産をいう。以下同じ。)
三の三 商品(商品先物取引法(昭和二十五年法律第二百三十九号)第二条第一項に規定する商品のうち、法令の規定に基づく当該商品の価格の安定に関する措置の有無その他当該商品の価格形成及び需給の状況を勘案し、当該商品に係る市場デリバティブ取引により当該商品の適切な価格形成が阻害されるおそれがなく、かつ、取引所金融商品市場において当該商品に係る市場デリバティブ取引が行われることが国民経済上有益であるものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)
四 前各号に掲げるもののほか、同一の種類のものが多数存在し、価格の変動が著しい資産であって、当該資産に係るデリバティブ取引(デリバティブ取引に類似する取引を含む。)について投資者の保護を確保することが必要と認められるものとして政令で定めるもの(商品先物取引法第二条第一項に規定する商品を除く。)
五 第一号、第二号若しくは第三号の二に掲げるもの又は前号に掲げるもののうち内閣府令で定めるものについて、金融商品取引所が、市場デリバティブ取引を円滑化するため、利率、償還期限その他の条件を標準化して設定した標準物
25条この法律において「金融指標」とは、次に掲げるものをいう。
一 金融商品の価格又は金融商品(前項第三号及び第三号の三に掲げるものを除く。)の利率等
二 気象庁その他の者が発表する気象の観測の成果に係る数値
三 その変動に影響を及ぼすことが不可能若しくは著しく困難であって、事業者の事業活動に重大な影響を与える指標(前号に掲げるものを除く。)又は社会経済の状況に関する統計の数値であって、これらの指標又は数値に係るデリバティブ取引(デリバティブ取引に類似する取引を含む。)について投資者の保護を確保することが必要と認められるものとして政令で定めるもの(商品先物取引法第二条第二項に規定する商品指数であって、商品以外の同条第一項に規定する商品の価格に基づいて算出されたものを除く。)
四 前三号に掲げるものに基づいて算出した数値
デリバティブ取引の概要 / Overview of Derivatives Transactions
Derivatives デリバティブス とは、金融資産から動詞の Derive デバイブ (デリバティブ取引とは 派生する)した金融商品、すなわち株式や債券などの有価証券を原資産とするものや、金利や為替などの参照指標を用いた金融取引に用いられる用語で金融派生証券あるいは金融派生商品の意味で用いられている。
現在、デリバティブという言葉は、金融市場だけでなく、広く社会で使用されている。金融リスクを増幅させ、経済に悪影響を及ぼすという批判もあるが、デリバティブは現代における金融を支える必須の要件であり、金融イノベーションの最前線として受け入れられてきている。
デリバティブ市場は近年まで順調に成長してきたが、なぜこれほどまでにデリバティブ取引に需要があるのか?という疑問があるのではないだろうか。その理由の一つは、デリバティブはキャッシュフローを受け渡すだけでなく、キャッシュフローを再構築することでTransfer of risk/リスクの移転が容易になることである。このリスク移転は、伝統的な資産のリスクを先物でヘッジするだけでなく、様々な資産やリスク要因、期間にまたがる、より多様できめ細かなものである。
企業や金融機関、投資家は様々なリスクに遭遇し、そのリスクをヘッジしたい、あるいはリスクを取って投資したいという潜在的な強い欲求がある一方、デリバティブでリスクをシフトしても、ゼロサムゲームなので市場全体のリスクは減らないし、現物の裏付けがないまま作られるものも多いので、金融市場への過剰な資金供給というリスクは避けられないという意見もあるが、過剰なリスク集中を回避し、効果的にリスクをヘッジすることは、リスク管理のみならず資本効率の向上にもつながるため、デリバティブ取引を利用することは、今では経営や投資の判断において重要な選択肢の一つとなっている。
デリバティブの歴史は古く、ギリシャ文明にまで遡る文献にもデリバティブに関する記述があり、特に先物取引の始まりは、農産物や金属などの一般商品からとなる。これら一般商品の先物取引をCommodity futures(商品先物)と呼び、それと区別して、外貨や債券、預金金利、株価指数などの金融商品の先物取引をFinancial futures(金融先物)と現在では呼んでいる。ここでは特に区別が必要な場合を除き、外貨や債券、預金金利、株価指数など、金融先物商品全般の取引のことを「金融先物」と呼ぶことにする。
金融先物取引 Financial futures
金融先物取引の始まりは、1972年にChicago Mercantile Exchange: CME/シカゴ・マーカンタイル取引所がその敷地内にInternational Monetary Market: デリバティブ取引とは IMM/国際通貨市場を開設し、外国通貨先物の取引を開始したことに始まる。これを契機に、1970年代後半から1980年代前半にかけて、米国では債券や金利、株価指数など、他のさまざまな金融商品の先物取引が展開され、特に1980年代前半は、多種多様な金融先物商品が次々と誕生し、1980年代半ばまでは、イギリスやカナダ、オランダ、オーストラリア、シンガポールなど他の国でも金融先物取引の導入が見られた。1970年代後半から1980年代前半の10年間で、金融先物取引は世界中に広がり金融先物取引は、先物市場全体において大きな力を持つようになった。結果、1985年以降の米国では、金融先物取引の取引額が商品先物の取引額を上回るようになった。
日本では1985年に10年物国債/JGBが最初の金融先物商品として取引され出した。この商品の取引は大方の予想をはるかに超えて急成長し、取引開始後1年も経たないうちに債券そのものの取引額を上回るようになった。さらに、1987年、日本国債の先物取引は販売額で世界一となり、世界の先物市場から注目を浴びることになった。1987年、証券取引所が50銘柄の株式をパッケージ化した先物商品Stock Futures 50/株式先物50を導入し、株式先物取引が始まった。さらに、証券取引法の改正により、1988年に株価指数先物の取引が開始された。1989年にはFinancial Futures Exchange/金融先物取引所の設立に伴い、通貨・金利先物が導入された。2007年9月、金融先物取引法が廃止され、証券取引法を改正したFinancial Instruments and Exchange デリバティブ取引とは Act/金融商品取引法(以下FIEA/金商法)が施行され、有価証券関連取引を扱うSecurities exchanges/証券取引所と金融先物取引のみを扱う金融先物取引所とにカテゴリー分けし、あらゆる金融商品を扱うFinancial Instruments Exchange/金融商品取引所を設置することとなった。
商品先物取引 Commodity futures
商品先物取引の歴史は古く、日本では1730年に全国の大名が年貢として持ち込む米の取引市場として大阪が優位に立ち、江戸幕府が大阪堂島取引所で米の取引(現物取引と先物取引)を許可し、世界初の組織的先物取引市場が誕生した。戦後の日本では、綿糸や羊毛、ゴム、生糸、干し繭、砂糖、農産物、貴金属など、さまざまな商品を取引する取引所が誕生したが、産業の発展とともに統廃合された。
2011年には商品取引所法が改正され、国内の商品取引所と取引所外取引、国際商品市場を対象とする法律として、商品先物取引法が施行された。その後、価格決定方式や証拠金制度の改善など、金融先物取引の存続に向けた取り組みがさらに進み2000年以降、日本の取引所と海外の取引所との提携が加速し、商品の多様化が進んでいる。
2013年1月、株式会社東京証券取引所と株式会社大阪証券取引所は、取引所間のグローバルな競争において、より優位に立つことを目的として、両社の経営統合を行い、株式会社日本取引所グループを設立した。その結果、2014年3月24日以降、金融先物とオプション取引は、株式会社大阪取引所(正式には株式会社大阪証券取引所、同日付で社名変更)のみで取り扱っている。
オプションとスワップ取引 Option & Swap futures
オプション取引は、古代ギリシャでオリーブの豊作が予想され、オリーブの搾油機を使用するOption/権利を購入したのが始まりとされる歴史学者がいる。近代では、17世紀初頭にオランダのチューリップの球根を対象にオプション取引が行われた。
イギリスでは1690年代にオプション市場が出現したが、1733年にウォルポール内閣のバーナード法で違法となったが、その後もオプション取引は盛んに行われ、1860年にバーナード法は廃止された。米国では、18世紀後半からオプション取引が行われるようになり、南北戦争後に近代的なオプション取引の時代が始まった。1920年代には、店頭市場で投機手段としてオプション市場が人気を博した。しかし、販売促進の手段として営業マンに提供されたオプションが、相場操縦に利用されていることが問題となった。
1973年4月26日、Chicago Board Options Exchange: CBOE/シカゴ・オプション取引所で16銘柄のコール・オプションの取引が開始された。1977年にはプットオプションの取引も開始された。しかし、販売や取引に不公正な行為が多かったため、SEC/証券取引委員会は、新商品や原資産の増加などを禁止し、業務を一時停止させる措置をとった。
この措置は1980年3月に廃止され、オプション取引は現在のように盛んに行われるようになり、この頃、レーガン政権による金融規制緩和とそれに伴う金融市場の活性化により、オプション取引が拡大し、さらに新しいオプション商品の開発に拍車がかかった。その影響は世界の主要な証券取引所に及び、欧州や日本でも先物取引にオプションが導入された。
21世紀に入り、金融市場のグローバル化、ボーダレス化が加速する中で、デリバティブ市場は驚異的な成長を遂げ、商品開発、取引手法も驚異的な進化を遂げた。その多くは相対取引であり、相対取引に関する法的なインフラ整備も進められてきた。一例として、デリバティブの交渉型取引のグローバル化に大きく貢献したのは、デリバティブのプロが参加するInternational Swaps and Derivatives Association: ISDA/国際スワップデリバティブ協会が公表するマスター契約に準拠したスワップ取引における国際標準化であったと思われる。この標準化の流れは、会計や内部統制、リスク管理の分野でも見られる。つまり、時価会計への移行や自由化とグローバル化の流れの中で多様なデリバティブビジネスが一般化した。
2007年に顕在化したサブプライム問題で明らかになったように、これまでのデリバティブ産業の成長と発展が何の問題もなかったとは言えない。その後の金融市場の混乱と信用収縮に伴い、自由放任主義の下での自由化の流れを見直すべきであるという見解が、世界的なコンセンサスとして確立している。しかし、現時点でのデリバティブ取引の残高が膨大であり、今後、新たな取引が大量に発生することを考えると、店頭デリバティブ規制の改革を含む金融規制改革がいかに困難であるかは容易に想像がつく。
デリバティブ取引と金融商品取引法 Derivatives Transactions and the Financial Instruments and Exchange Act
2007年9月末に金商法が施行され当時の他国との整合性を図る観点から、従来の限定列挙方式から、包括的にとらえた枠組みで扱われるようになった。従来、Commodities/商品またはCommodity indices/商品指数を原資産または参照指標とするCommodity derivatives transactions/商品デリバティブ取引は、農産物や金属の生産と流通に関する政策と密接に関連すると考えられ、商品先物取引法の規制対象とされてきた。しかし、2012年の金商法改正により、商品または商品の財務指標を原資産または参照指標とするMarket derivatives transactions/市場デリバティブ取引は、Financial instruments exchanges/金融商品取引所が運営するFinancial instruments markets/金融商品市場において取扱うことができるようになった。
24条この法律において「金融商品」とは、次に掲げるものをいう。
一 有価証券
二 預金契約に基づく債権その他の権利又は当該権利を表示する証券若しくは証書であつて政令で定めるもの(前号に掲げるものを除く。)
三 通貨
三の二 暗号資産(資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第二条第五項に規定する暗号資産をいう。以下同じ。)
三の三 商品(商品先物取引法(昭和二十五年法律第二百三十九号)第二条第一項に規定する商品のうち、法令の規定に基づく当該商品の価格の安定に関する措置の有無その他当該商品の価格形成及び需給の状況を勘案し、当該商品に係る市場デリバティブ取引により当該商品の適切な価格形成が阻害されるおそれがなく、かつ、取引所金融商品市場において当該商品に係る市場デリバティブ取引が行われることが国民経済上有益であるものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)
四 前各号に掲げるもののほか、同一の種類のものが多数存在し、価格の変動が著しい資産であって、当該資産に係るデリバティブ取引(デリバティブ取引に類似する取引を含む。)について投資者の保護を確保することが必要と認められるものとして政令で定めるもの(商品先物取引法第二条第一項に規定する商品を除く。)
五 第一号、第二号若しくは第三号の二に掲げるもの又は前号に掲げるもののうち内閣府令で定めるものについて、金融商品取引所が、市場デリバティブ取引を円滑化するため、利率、償還期限その他の条件を標準化して設定した標準物
25条この法律において「金融指標」とは、次に掲げるものをいう。
一 金融商品の価格又は金融商品(前項第三号及び第三号の三に掲げるものを除く。)の利率等
二 気象庁その他の者が発表する気象の観測の成果に係る数値
三 その変動に影響を及ぼすことが不可能若しくは著しく困難であって、事業者の事業活動に重大な影響を与える指標(前号に掲げるものを除く。)又は社会経済の状況に関する統計の数値であって、これらの指標又は数値に係るデリバティブ取引(デリバティブ取引に類似する取引を含む。)について投資者の保護を確保することが必要と認められるものとして政令で定めるもの(商品先物取引法第二条第二項に規定する商品指数であって、商品以外の同条第一項に規定する商品の価格に基づいて算出されたものを除く。)
四 前三号に掲げるものに基づいて算出した数値
金融商品取引・デリバティブ等の投資被害は、プロの弁護士にご相談を 投資被害ドットコム
中小企業向けの為替デリバティブ被害が社会問題となっています。
2004年~2007年頃、為替レートが1ドル110円~120円のときに、大手都市銀行は中小企業に対し、 「為替リスクヘッジのため」等と称して為替デリバティブ(通貨オプション)と言われる金融商品をこぞって販売しました。 しかし、その後、2008年のリーマンショックを機に円高が加速し、現在では1ドル80円を割り込む超円高の状況が続いています。
それにもかかわらず、リーマンショック以前の為替レートに基づき5年以上もの長期間にわたり大量のドルを買う義務を負わされている中小企業が多数出ています。 悲惨なケースでは、円高のために毎月数千万円という損失が発生し、銀行から執拗に入金を迫られて、 本業の業績が好調であるにもかかわらず倒産の危機に瀕している中小企業が少なくないのです。
為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)とは、一般には、「通貨を一定の条件で買う、又は売ることのできる権利」を売買する契約をいいます。 金融機関(主として大手都市銀行)が中小企業(輸入企業)に対してドルコール円プットオプション(以下「ドルコールオプション」といいます)を売ると同時に、 中小企業からドルプット円コールオプション(以下「ドルプットオプション」といいます)を買い、オプションの対価(オプション料)の受取りと支払いを相殺することによって、 契約締結時の費用をゼロ(いわゆるゼロコスト)にする取引です。
金融機関は輸入企業に為替デリバティブ取引(通貨オプション取引)を勧めるに際し、 ドル建て債務についての為替変動リスクをヘッジするための商品と説明するのが通常です。 しかし、為替デリバティブ取引の実態は、リスクヘッジのための契約というより、 企業が大きな損失リスクを抱える投機的取引と見るほうが実態に即しています。 ほとんどの金融機関はこの為替デリバティブ取引の危険性を正確に説明せず、あくまで「為替リスクヘッジのための」取引であるとしか説明していませんでした。 それまでデリバティブ取引の経験などない堅実な中小企業に対してまで、為替リスクヘッジのためと称して投機性の高い危険な金融商品を販売していたのです。
しかも「為替リスクヘッジ」を取引の目的に謳いながら、金融機関は契約締結に際して当該中小企業の為替リスクヘッジニーズを精査せず、 実際のヘッジニーズを遙かに超える過大な量の取引を勧誘したり、あるいはヘッジニーズがほとんどない企業(直接の為替取扱いがない企業)にまで販売しています。 ただでさえ投機性の高い取引を大量に締結した企業は、現在の超円高で多額の損失を被っています。金融機関は本来、企業のヘッジニーズ等を的確に把握し、 そのニーズに見合った適切な商品を販売すべきです。ところが適合性を無視し、 必要な説明もせずに大量の取引を勧誘したのは、一回の契約締結により得られる手数料収入が莫大な金額に上るからに他ならないと言えます。
すなわち、多くの為替デリバティブ契約において、企業が金融機関に売却するドルプットオプションの価値は、 金融機関から購入するドルコールオプションの価値より数百万円~数千万円も高額です。 それを相殺という形で「ゼロコスト」にして、金融機関はオプション料の差額分に相当する数百万円~数千万円の金額を、一度に手数料として得るのです。
当然ながら、当の中小企業は自身が売却するドルプットオプションの価値と、金融機関から購入するドルコールオプションの価値の差を全く知りません。 自らが売却する商品が、購入する商品よりも数百万円~数千万円も価値が高いと知っていれば、安易に「ゼロコスト」で契約を締結しようとは普通考えないでしょう。 金融機関は勧誘の際にオプションの価値の格差を何ら明らかにせず(むしろこれを隠蔽して)、ただ「ゼロコスト」を強調して多額の手数料を稼いだことになるのです。
例えば、解約するにあたって、9000万円の解約損害金を請求されていた場合、銀行がその5割の4500万円を負担し、中小企業は残りの4500万円を 負担するという解決も可能となります。この場合、中小企業は銀行からその4500万円の返済に必要な資金を融資してもらうことができます。 負担割合を減額した上、融資も併せて受けられることは、この金融ADRの大きなメリットと言えます。 尚、この場合、中小企業と銀行の関係が悪化することはなく、事業資金の融資等は問題なく従前通り継続していくことになります。
もっとも、金融ADRは互譲の精神に基づく制度である以上、銀行に解約損害金の大部分を負担させたり、既払い金を返還させることまではなかなか難しいのが実情です。
- 1.法律相談
事実関係の聴き取り。 - 2.銀行に受任通知
毎月の支払い停止。 - 3.全国銀行協会に金融ADR(あっせん手続き)申立て
- 4.全国銀行協会を通じて、銀行側から回答
銀行側からの答弁書の提出。 - 5.あっせん期日・あっせん案の提示
原則1回のみ。あっせん委員があっせん案(負担割合)を提示。 - 6.あっせん案の検討(受諾の可否)
この間並行して銀行側と融資の協議。 - 7.あっせん成立
銀行との間で期日外協議して融資の契約。
当職は為替デリバティブ被害の取り扱い実績があります。
最近ご相談にこられた中小企業経営者の方の中にも、全国銀行協会の金融ADRを利用して契約の解約と、違約金について協議を行い解決に導いた事例があります。 全国銀行協会の金融ADRは名古屋で行うことができます。現在多くの中小企業がこの問題で苦しめられていますが、この分野を専門としている弁護士が少ないのが現状です
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